Archive of Vanished Flora
標本を呼び出しています…
残雪草 Nivimemoria relicta
Specimen · N°086 · 氷

Nivimemoria relicta

百日以上眠った種だけが咲きます。

FOUND 42.7°N 44.6°E · ジョージア北部、大コーカサス山脈の亜高山帯草原  ·  ✝ EX · 最終確認 2024 年

残雪草は、高さ5cmほどの小さな多年草。銀白色の細かな綿毛に包まれた葉を密に重ね、その上に直径1cmに満たない純白の小花を無数に敷き詰めて、低くなめらかな白いかたまりをつくる。この草の種子は、雪の下で百日以上冷やされないと目を覚まさない。だから株が育つのは、冬に深い吹き溜まりができた場所だけ。夏、緑に覆われた山肌のなかで、残雪草の群れは去年の吹き溜まりの形をそのままなぞって咲き、遠目には解け残った雪田と見分けがつかない。八月の尾根で「残雪」と記録された白い斑が、近づくと一面の花だったという報告が、この山では繰り返されてきた。風が雪を運ぶ場所は毎年ほとんど変わらないから、白い斑の形も毎年ほとんど変わらない。そして秋、本当の初雪が花の上に積もると、どこまでが雪でどこからが花なのか、白の境目は静かに消える。雪に埋もれた花はそのまま眠りにつき、山は次の吹き溜まりを積みはじめる。

01

肖像

標本写真 / archival still
残雪草
STILL · 標本写真

「解けない雪」

この標本に動く記録は残されていません。静止した一枚に、その姿をとどめています。

ARCHIVAL STILLPLATESILENT
Narration · ナレーション音声
0:00 / --:--
02

標本図版

8 枚 · ホバーで拡大
残雪草 plate 1PLATE I
残雪草 plate 2PLATE II
残雪草 plate 3PLATE III
残雪草 plate 4PLATE IV
残雪草 plate 5PLATE V
残雪草 plate 6PLATE VI
残雪草 plate 7PLATE VII
残雪草 plate 8PLATE VIII
03

観察ノート

Habitat · 発見地
ジョージア北部、大コーカサス山脈の亜高山帯草原。冬のあいだ深い吹き溜まりになる風下の窪みや尾根の陰にだけ現れる。
Local name · 現地での呼び名
解けない雪
Folklore · 現地伝承
現地では、夏の山で消え残る白い斑は「山が覚えている雪」だとされ、羊飼いは残雪草の白が濃い年ほど次の冬の雪が深いと読んできた。
04

発見地

Coordinates
42.7°N 44.6°E
ジョージア北部、大コーカサス山脈の亜高山帯草原
05

記録

真夏なのに、この残雪だけは解けません。

雪ではなく、花だからです。

コーカサス山脈、夏の亜高山帯の草原。

この草の種子は、雪の下で百日冷やされないと目を覚ましません。

だから育つのは、冬に深い吹き溜まりができた場所だけ。

夏になると、去年の吹き溜まりの形のとおりに、純白の花が敷き詰められます。

More分類・学名・語源などの詳しい標本データ
06

分類

分類・標本データ
Scientific name · 学名
Nivimemoria relicta  T. Okabe, 2022
Taxonomy · 分類
植物界 › 被子植物門 › 双子葉植物綱 › NivimemorialesNivimemoriaceaeNivimemoria › relicta
Voucher · 標本
AVF-086 · Holotype
Archive of Vanished Flora (AVF)
Conservation · 保全状況
✝ EX — 絶滅 最終確認 2024 年
Collector · 採集
T. Okabe
2020-03-09
Synonym · 異名
Nivimemoriopsis relicta N. Drei, 2018
Protologue · 原記載(ラテン)
Suffrutex nanus, foliis imbricatis, floribus solitariis nocte apertis. Typus: ジョージア北部、大コーカサス山脈の亜高山帯草原. Species iam extincta.
Discovered / Described
2020 / 2022
草丈 Height
5cm
生活形 Life form
多年草
葉序 Phyllotaxy
互生
染色体数 Chromosome
2n = 18
開花期 Flowering
短い開花期(数日)
送粉 Pollination
風媒
基質・pH Substrate
礫質・ほぼ中性
標高 Elevation
2,400〜3,000 m
07

語源

学名の語源
Nivimemoria属名 / GENUS
語源は記録に残っていない
relicta種小名 / EPITHET
語源は記録に残っていない
08

関連標本

同じ環境の標本
⟵ 標本世界地図
EN