Archive of Vanished Flora
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歳輪草 Anulophyton dilatans
Specimen · N°085 · 砂漠 · ▶ 動画あり

Anulophyton dilatans

この輪の直径だけが、この植物の年齢を示します。

FOUND 22.5°S 119.0°E · オーストラリア西部、内陸の赤い礫平原  ·  ✝ EX · 最終確認 2015 年

歳輪草は、赤い礫平原に低く広がる、ひざ丈ほどの硬い灌木。ふつうの葉をほとんど持たない。この乾いた土地では葉は水を失いすぎるため、代わりに枝そのものが光合成する。その枝は厚い白い蝋にすっぽり覆われ、乾季には骨のように白く乾いて見える。爪で軽くこすると、蝋の下から鮮やかな緑がのぞく。花は枝に直接つく緑褐色の小さなもので、ほとんど目立たない。だから地上を歩く者には、赤い大地に白い枯れ枝の茂みがあるだけに見える。ところが空から見ると、この植物は必ず輪になっている。直径十メートルから、大きなものでは三十メートルを超える、ほとんど完璧な白い円。輪の内側は、草一本ない裸の赤土である。輪をなす何百本は、種から生えた別々の株ではない。中心で芽生えたたった一株が、地を這う枝の先から根を下ろして自分の複製をつくり、外へ外へと広がりつづけた結果だ。水の乏しいこの土地では、根はまわりの土から水を絞り尽くす。だから内側に取り残された古い株は、自分自身がつくった渇きに負けて枯れていく。枯れた枝は白い蝋を失い、灰黒色にくすんでいく。だから帯を横から見れば、外側は白く、内側は黒い。生きているのは常に、外へ向かう最前線の白い縁だけだ。輪は一年に数センチずつしか広がらない。だから差し渡しを測れば、その一株が芽生えてから何年経ったかが読める。三十メートルの輪は、千年を超える。そして厄介なことに、輪をなす何百本が本当に一個体なのかは、地面を掘って地下の枝をたどるか、遺伝子を調べるまで確かめようがない。輪の形をした偶然なのか、一つの生き物の輪郭なのか。空から見えているものが何なのかは、いまも決着していない。

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肖像

縦型のまま / tap to play
FULL FILM · SNSにも公開

「水無しの輪」

この記録映像は縦型(9:16)で制作され、SNSにも公開されています。アーカイブでは原寸の比率のまま収蔵します。

9:16 VERTICALFULL EDITSOUND ON
Narration · ナレーション音声
0:00 / --:--
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標本図版

8 枚 · ホバーで拡大
歳輪草 plate 1PLATE I
歳輪草 plate 2PLATE II
歳輪草 plate 3PLATE III
歳輪草 plate 4PLATE IV
歳輪草 plate 5PLATE V
歳輪草 plate 6PLATE VI
歳輪草 plate 7PLATE VII
歳輪草 plate 8PLATE VIII
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観察ノート

Habitat · 発見地
オーストラリア西部、内陸の赤い礫平原。年に二百ミリ足らずの雨しか落ちず、地表が酸化鉄で赤黒く焼けた、起伏のない広大な乾燥地にだけ現れる。
Local name · 現地での呼び名
水無しの輪
Folklore · 現地伝承
この土地で井戸を掘ってきた者たちは、歳輪草の白い輪を目印にしてきた。輪の内側は根が水を絞り尽くしているため、どれだけ掘っても水は出ない。掘るなら輪の外側だ、と言い伝えられてきた。白が鮮やかな輪ほど生きが良く、内側の黒が広い輪ほど古いとも、大きな輪は何百年も踏み荒らされずにきた土地の証だとも語り継がれてきた。
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発見地

Coordinates
22.5°S 119.0°E
オーストラリア西部、内陸の赤い礫平原
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記録

この輪の直径だけが、この植物の年齢を示します。

輪は、中心が枯れ、外へ広がりつづけた跡だからです。

オーストラリア西部、赤い礫の乾いた平原。

この低木は葉を持たず、白い蝋をかぶった枝だけで生きています。

空から見ると、その白い枝は必ず円をつくっています。

輪をなす何百本は、別々の株ではありません。中心で芽生えたたった一株の複製です。

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分類

分類・標本データ
Scientific name · 学名
Anulophyton dilatans  K. Brandt, 2008
Taxonomy · 分類
植物界 › 被子植物門 › 双子葉植物綱 › Anulophytonales › Anulophytonaceae › Anulophyton › dilatans
Voucher · 標本
AVF-085 · Holotype
Archive of Vanished Flora (AVF)
Conservation · 保全状況
✝ EX — 絶滅 最終確認 2015 年
Collector · 採集
Y. Aoki
2007-02-02
Synonym · 異名
Anulophytonopsis dilatans C. Iwabuchi, 2005
Protologue · 原記載(ラテン)
Planta humilis, caule brevissimo, petalis albidis nitentibus, in loco aperto crescens. Typus: オーストラリア西部、内陸の赤い礫平原. Species iam extincta.
Discovered / Described
2007 / 2008
草丈 Height
5〜15 cm
生活形 Life form
低木〜小高木
葉序 Phyllotaxy
互生
染色体数 Chromosome
2n = 16
開花期 Flowering
撹乱(噴火・野火)の翌季
送粉 Pollination
小型の双翅目・膜翅目
基質・pH Substrate
礫質・ほぼ中性
標高 Elevation
200〜1,200 m
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語源

学名の語源
Anulophyton属名 / GENUS
phyt植物
dilatans種小名 / EPITHET
—語源は記録に残っていない
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