
枯れると、まるで生き物のように転がっていきます。
転がり草は、高さ8〜15cmの一年草。湿ると銀緑色の細い葉を放射状に広げ、小さな白い花を咲かせる。乾くと全体が内側へ丸まって枯れ球になり、風に転がって種を運ぶ。雨が来ると再び開く。
PLATE I
PLATE II
PLATE III
PLATE IV
PLATE V
PLATE VI
PLATE VII
PLATE VIII
枯れると、まるで生き物のように転がっていきます。
雨が来るまで、何年でも眠り続けるからです。
中東の砂漠、干上がった湖の底。
ひび割れた泥の大地に、転がり草は現れます。
湿ると、銀緑色の細い葉を放射状に広げます。
その中心に、小さな白い花が開きます。
湖底の泥が暗く戻るのは、強い雨の後の三日から五日ほどに限られる。この間だけ、Volvithamnus erraticus は銀緑色の葉を低く開き、夜明け前に白い花をほどく。午後には花被がしぼみ、塩を含んだ風で痕跡はすぐ失われる。標本採集の時刻が半日遅れれば、残るのは名のない小草ではなく、既知の塩生一年草の枯れ枝に見える。
花は目立たないが、雨後の夜には泥の裂け目から出る微小な双翅目が、湿った花盤をなめるように訪れるらしい。訪花が途切れる年でも、葯は閉じたまま柱頭へ倒れ、自家受粉を終える。したがって群落は昆虫に依存しつつ、完全には委ねていない。翌朝に見える白さは、繁殖の始まりというより、すでに終わりかけた出来事の余光である。
乾いた球は蘇生した個体ではない。茎と果序の内外で縮み方が異なるため、枯死体そのものがぜんまいのように巻き込む。再び湿ると、吸湿性の組織がゆっくり伸び、球は浅く開いて泥面に種子を落とす。風で運ばれた後に雨でほどけるこの順序が、湖底の縁に弧状の小群落を作る理由だろう。