Archive of Vanished Flora
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根組みなおし Gypsophyma reficiens
Specimen · N°044 · 砂漠

Gypsophyma reficiens

動かないのに、地下ではまるで別の形をしています。

FOUND 33.5°N 53.0°E · イラン中部高原の石膏質バッドランド  ·  ✝ EX · 最終確認 2009 年

根組みなおしは、高さ10cmほどの低いクッション状の植物。灰緑色の多肉質な鱗状の葉を半球形に密に重ね、短い花茎の先に淡い藤色の星形の小花をいくつもつける。白い石膏の地面に根を下ろすが、その根は地中の石膏が雨水でゆっくり溶けて空洞ができるたび、空洞が崩れる前に太い淡色の根を伸ばし直して骨組みを作りなおす。地表に見える株の位置は何年も変わらないのに、地下の根の形は雨のたびに別物になっている。雨上がりには、溶けて後退した石膏の縁から、白い太い根冠の一部が露わになっていることがある。

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肖像

標本写真 / archival still
根組みなおし
STILL · 標本写真

「丘を編みなおすもの」

この標本に動く記録は残されていません。静止した一枚に、その姿をとどめています。

ARCHIVAL STILLPLATESILENT
Narration · ナレーション音声
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標本図版

8 枚 · クリックで拡大
根組みなおし plate 1PLATE I
根組みなおし plate 2PLATE II
根組みなおし plate 3PLATE III
根組みなおし plate 4PLATE IV
根組みなおし plate 5PLATE V
根組みなおし plate 6PLATE VI
根組みなおし plate 7PLATE VII
根組みなおし plate 8PLATE VIII
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観察ノート

Habitat · 発見地
イラン中部高原の石膏質バッドランド。白く乾いた石膏の丘にだけ生え、株は同じ場所に居座り続ける。
Local name · 現地での呼び名
丘を編みなおすもの
Folklore · 現地伝承
現地では、この植物が同じ場所で枯れずに居続けるのは、地下で丘そのものを編みなおしているからだと言われ、石膏の丘が崩れないよう内側から支えていると語り継がれてきた。
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発見地

Coordinates
33.5°N 53.0°E
イラン中部高原の石膏質バッドランド
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記録

動かないのに、地下ではまるで別の形をしています。

地表の株は、何年も同じ場所から動きません。

イラン中部高原、白い石膏の丘。

雨水が地中の石膏をゆっくり溶かし、空洞をつくります。

根組みなおしは、空洞が崩れる前に太い根を伸ばし直します。

そうして地下の骨組みを、雨のたびに作りなおすのです。

More分類・学名・語源などの詳しい標本データ
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分類

分類・標本データ
Scientific name · 学名
Gypsophyma reficiens  L. Fontaine, 2002
Taxonomy · 分類
植物界 › 被子植物門 › 双子葉植物綱 › GypsophymalesGypsophymaceaeGypsophyma › reficiens
Voucher · 標本
AVF-044 · Holotype
Archive of Vanished Flora (AVF)
Conservation · 保全状況
✝ EX — 絶滅 最終確認 2009 年
Collector · 採集
E. Mori
2002-09-12
Synonym · 異名
Gypsophymopsis reficiens R. Salvà, 2000
Protologue · 原記載(ラテン)
Herba parva rosulata, foliis crassis glaberrimis, floribus parvis stellatis. Typus: イラン中部高原の石膏質バッドランド. Species iam extincta.
Discovered / Described
2002 / 2002
草丈 Height
10cm
生活形 Life form
多年草
葉序 Phyllotaxy
互生
染色体数 Chromosome
2n = 30
開花期 Flowering
撹乱(噴火・野火)の翌季
送粉 Pollination
小型の双翅目・膜翅目
基質・pH Substrate
礫質・ほぼ中性
標高 Elevation
200〜1,200 m
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語源

学名の語源
Gypsophyma属名 / GENUS
語源は記録に残っていない
reficiens種小名 / EPITHET
語源は記録に残っていない
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関連標本

同じ環境の標本

観察記録の追補

再訪と追記
2026-06-24 · 短雨期の花粉

最初の降雨から三日ほどで、淡藤色の花は石膏丘の風下側から開きはじめる。日中に小型のハナバチが来ることもあるが、花粉は乾くと微粉となり、低い株間を吹き抜ける風でも柱頭に届くらしい。結実した蒴果は裂けても遠くへ飛ばず、石膏粉をまとった重い種子を親株近くの細い割れ目へ落とす。群落が丘の白い稜線に沿って途切れ途切れに続くのは、そのためと思われる。

2026-06-24 · 標本にならない根

この植物の異様さは、地上部だけを採ればほとんど失われる。露出した白い根冠は強い雨の後、石膏の縁が溶けて退いた数日のあいだだけ見える。乾けば同じ白色の粉に埋もれ、掘り上げれば脆い石膏の骨組みごと崩れる。押し葉標本では灰緑色の小さなクッションとしか残らず、既知の石膏性植物に紛れてしまう理由は十分にある。

2026-06-24 · 踏まれない丘

羊道は白い丘の肩を避け、古い井戸へ向かう黒い礫の帯を選んでいる。案内人は雨上がりの石膏丘を横切らず、露わになった根を踏むと次の冬に斜面が割れると言った。禁忌というより、崩れやすい縁を読んだ経験則だろう。根組みなおしの株が道標のように同じ場所へ残ることが、移動する牧夫にとって丘の固さを測る目印になっていたらしい。

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