
砂嵐が過ぎ去ったあとにだけ、姿を現します。
砂明け花は、高さ10cmほどの砂漠植物。葉は肉厚で、株は砂の下で何年も休眠する。砂嵐が砂丘を動かし、上を覆っていた砂が払われると露出して、銀白色の小さな花を乾いた風のなかで開く。再び砂に埋もれる前に、種を風に託す。
PLATE I
PLATE II
PLATE III
PLATE IV
PLATE V
PLATE VI
PLATE VII
PLATE VIII
砂嵐が過ぎ去ったあとにだけ、姿を現します。
株は、砂の下で何年も眠り続けます。
タクラマカン砂漠。
砂嵐が砂丘を動かし、地表を削っていく土地です。
上を覆っていた砂が払われると、
砂明け花は、銀白色の小さな花を乾いた風のなかで開きます。
本種の株は、風食で新しく剥がれた砂丘面のどこにでも現れるわけではない。記録地点では、表層の細砂の下に、古い河道を思わせる締まった淡灰色の砂層があり、石膏片と塩皮殻が混じる。根茎はこの硬い層の上面に沿って伏し、砂が払われた年だけ芽を押し上げるようである。
露出した株では、地上部はすでに休眠芽の中でほぼ作られていたらしい。翌朝には肉厚の葉が開き、二日目の乾いた風の中で銀白色の花が揺れた。葯は短く内側へ曲がり、突風で花冠が震えるたび柱頭に触れる。訪花昆虫を待つというより、風そのものを自家受粉の合図にしている。
古い隊商路とされた砂面を数百歩たどっても、花は連続しては見えない。ある凹地に十数株が一斉に立ち、次の同じような斜面には一株もない。この斑状の不在は、種子が遠くへ散るだけでは説明しにくい。埋没に耐える地下芽と、古河床由来の塩性砂層が重なった場所だけが、数年に一度、群落として姿を現すのだろう。