
森のどこかでは、いつも咲いています。
根返り花は、高さ15cmほどの林床植物。深緑のやや透き通った葉を低く広げ、赤褐色の細い茎の先に、淡い象牙色の俯いた釣鐘形の花をつける。倒れた巨木が掘り起こした暗い湿土に根を下ろし、裂けた古い根に菌糸でつながって育つ。穴が落ち葉と土で埋まっていく数十年のあいだだけ群落をつくり、地面が平らに戻る頃には同じ場所から静かに消える。森のどこかでは必ず咲いているのに、ひとつの場所では一世代しか見つからない。

PLATE I
PLATE II
PLATE III
PLATE IV
PLATE V
PLATE VI
PLATE VII
PLATE VIII
森のどこかでは、いつも咲いています。
けれど同じ場所では、一度きりしか見つかりません。
ポーランド、ビャウォヴィエジャ原生林。
冬の強風が巨木を根ごと倒すと、地面に深い穴が掘れます。
根返り花は、その暗く湿った裸土にだけ現れます。
淡い象牙色の花を俯かせ、裂けた古い根に菌糸でつながって育ちます。