Archive of Vanished Flora
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二葉杉 Cedrus bimorpha atlasiana
Specimen · N°038 · 森 · ▶ 動画あり

Cedrus bimorpha atlasiana

同じ一本の木が、二本に見える年があります。

FOUND 32.7°N 5.0°W · モロッコ中部、アトラス山脈の高標高スギ林  ·  ✝ EX · 最終確認 1999 年

二葉杉は、高さ20mを超える古いアトラススギの一個体に起こる現象に名づけられた呼び名で、別種ではない。太い灰褐色の幹の根元から低い二次萌芽の枝が立ち上がり、その同じ一本が二種類の葉をつける。一方は短く密な、やや青みを帯びた濃緑の硬い針葉。もう一方は長くまばらな、淡い灰緑色の柔らかい針葉。深く伸びた地下根が乾いた深層の水を探り当てた年ほど、根元の枝は淡く柔らかい葉型を出すと言われる。地上の枝だけを見ると二本の別の木が重なっているように見え、同じ個体だと気づかれにくい。森のあちこちの古木で起こるのに、一本の木では数十年に一度しか二つの姿が揃わない。

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肖像

縦型のまま / tap to play
FULL FILM · SNSにも公開

「二つの顔を持つ古木」

この記録映像は縦型(9:16)で制作され、SNSにも公開されています。アーカイブでは原寸の比率のまま収蔵します。

9:16 VERTICALFULL EDITSOUND ON
Narration · ナレーション音声
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標本図版

8 枚 · ホバーで拡大
二葉杉 plate 1PLATE I
二葉杉 plate 2PLATE II
二葉杉 plate 3PLATE III
二葉杉 plate 4PLATE IV
二葉杉 plate 5PLATE V
二葉杉 plate 6PLATE VI
二葉杉 plate 7PLATE VII
二葉杉 plate 8PLATE VIII
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観察ノート

Habitat · 発見地
モロッコ中部、アトラス山脈の高標高スギ林。痩せた石灰岩の尾根に立つ古いアトラススギの根元に、同じ一本の木からだけ現れる。
Local name · 現地での呼び名
二つの顔を持つ古木
Folklore · 現地伝承
現地では、二葉杉が二つの葉型を揃えた年は、その冬に山の雪が少なかった証とされ、古木が地の底の水を覚えている印として語り継がれてきた。
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発見地

Coordinates
32.7°N 5.0°W
モロッコ中部、アトラス山脈の高標高スギ林
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記録

同じ一本の木が、二本に見える年があります。

枝ぶりも、葉の色さえ、まるで別の木です。

モロッコ中部、アトラス山脈の高い尾根。

痩せた岩に立つ古いスギの根元から、低い枝が立ち上がります。

その同じ枝に、硬く青い針葉と、柔らかく淡い針葉が同居します。

深く伸びた根が地の底の水を探り当てた年ほど、淡い葉が現れると言われます。

More分類・学名・語源などの詳しい標本データ
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分類

分類・標本データ
Scientific name · 学名
Cedrus bimorpha atlasiana  C. Iwabuchi, 1992
Taxonomy · 分類
植物界 › 被子植物門 › 双子葉植物綱 › CedralesCedraceaeCedrus › bimorpha
Voucher · 標本
AVF-038 · Holotype
Archive of Vanished Flora (AVF)
Conservation · 保全状況
✝ EX — 絶滅 最終確認 1999 年
Collector · 採集
T. Okabe
1990-03-24
Synonym · 異名
Cedropsis bimorpha A. Reinholt, 1988
Protologue · 原記載(ラテン)
Suffrutex nanus, foliis imbricatis, floribus solitariis nocte apertis. Typus: モロッコ中部、アトラス山脈の高標高スギ林. Species iam extincta.
Discovered / Described
1990 / 1992
草丈 Height
5〜15 cm
生活形 Life form
多年草
葉序 Phyllotaxy
互生
染色体数 Chromosome
2n = 18
開花期 Flowering
撹乱(噴火・野火)の翌季
送粉 Pollination
小型の双翅目・膜翅目
基質・pH Substrate
石灰質・弱アルカリ性 (pH 7.5+)
標高 Elevation
200〜1,200 m
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語源

学名の語源
Cedrus属名 / GENUS
語源は記録に残っていない
bimorpha種小名 / EPITHET
語源は記録に残っていない
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関連標本

同じ環境の標本

観察記録の追補

再訪と追記
2026-06-24 · 根元萌芽の限界

二葉杉は林内の複数の古木で語られるが、発現は常に一本の個体の根元萌芽に限られる。隣接する若木や実生には同じ葉型の変化を認めない。石灰岩の薄い土壌で上層枝が乾燥を受けた年、深根に支えられた低い枝だけが幼木に近い柔らかな針葉を戻すらしい。これは新しい種ではなく、老木の局所的な若返り反応として見るのが最も自然である。

2026-06-24 · 球果と不在の証拠

淡色の葉をつけた枝には、観察期を通じて雄花序も球果も見つからなかった。成熟した球果は通常の高枝にのみ生じ、風媒による繁殖は周囲のアトラススギと変わらない。したがって二つの葉型は繁殖的な分化ではなく、根元枝の水分状態に伴う形態の揺れである。林床に“二葉”の実生がないことも、この現象が個体内に閉じることを示している。

2026-06-24 · 雪解けを読む木

「二つの顔を持つ古木」は日本語への訳名で、アマジグ系の牧畜民は冬雪の少なさと春の湧水を読むしるしとしてこの姿を覚えていたという。尾根の古木が淡い葉を出す年は、積雪よりも地中深くの残水に頼った年であり、下流の水場の減り方とも符合する。伝承の“地の底の水の記憶”は比喩だが、深根性と乾燥年の萌芽反応をよく捉えている。

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