Archive of Vanished Flora
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捨身苔草 Petrobryum sacrificans
Specimen · N°037 · 岩 · ▶ 動画あり

Petrobryum sacrificans

体のほとんどを、毎回みずから捨ててしまいます。

FOUND 6.5°N 10.5°E · カメルーン高地の花崗岩インゼルベルク  ·  ✝ EX · 最終確認 1985 年

捨身苔草は、岩肌に低く張りつく直径3cmほどの極小植物。半透明の灰緑色をした鱗のような小さな葉を、コインのように平らに重ねて広げ、その縁から細い糸のような淡い黄緑色の成長点を、暗い岩の亀裂へと伸ばしてしまい込む。裸の花崗岩を覆う薄い水膜の上で世代の大半を終え、水が引くと体のほとんどを乾いた銀色の殻として岩に残し、亀裂の奥の成長点だけを生かしておく。強い日射を浴びるほど、次に再生する成長点だけを選んで守り、残りは惜しげもなく捨てる。だから同じ岩でも、見えている姿はそのつど別の体で、本体はいつも亀裂の暗がりの中にいる。

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肖像

縦型のまま / tap to play
FULL FILM · SNSにも公開

「岩に残る銀」

この記録映像は縦型(9:16)で制作され、SNSにも公開されています。アーカイブでは原寸の比率のまま収蔵します。

9:16 VERTICALFULL EDITSOUND ON
Narration · ナレーション音声
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標本図版

8 枚 · ホバーで拡大
捨身苔草 plate 1PLATE I
捨身苔草 plate 2PLATE II
捨身苔草 plate 3PLATE III
捨身苔草 plate 4PLATE IV
捨身苔草 plate 5PLATE V
捨身苔草 plate 6PLATE VI
捨身苔草 plate 7PLATE VII
捨身苔草 plate 8PLATE VIII
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観察ノート

Habitat · 発見地
カメルーン高地の花崗岩インゼルベルク。剥き出しの裸岩の上、岩肌をうっすら覆う薄い水膜が数日だけ留まる窪みと、岩の細い亀裂にだけ現れる。
Local name · 現地での呼び名
岩に残る銀
Folklore · 現地伝承
現地では、捨身苔草の銀色の殻が増えた岩は古くから乾きに強い場所と知られ、体を捨てて芯だけを守るその姿は、手放すことで生き延びる教えとして語り継がれてきた。
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発見地

Coordinates
6.5°N 10.5°E
カメルーン高地の花崗岩インゼルベルク
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記録

体のほとんどを、毎回みずから捨ててしまいます。

それでもこの植物は、何世代も同じ岩で生き続けます。

カメルーン高地、剥き出しの花崗岩の丘。

裸の岩を覆う薄い水膜は、数日でまた引いていきます。

捨身苔草は、その水膜の上で世代の大半を終えます。

水が引くと、半透明の灰緑色の体は銀色の殻になって岩に残ります。

More分類・学名・語源などの詳しい標本データ
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分類

分類・標本データ
Scientific name · 学名
Petrobryum sacrificans  R. Salvà, 1978
Taxonomy · 分類
植物界 › 被子植物門 › 双子葉植物綱 › PetrobryalesPetrobryaceaePetrobryum › sacrificans
Voucher · 標本
AVF-037 · Holotype
Archive of Vanished Flora (AVF)
Conservation · 保全状況
✝ EX — 絶滅 最終確認 1985 年
Collector · 採集
Y. Aoki
1977-02-17
Synonym · 異名
Petrobryopsis sacrificans H. Voss, 1975
Protologue · 原記載(ラテン)
Planta humilis, caule brevissimo, petalis albidis nitentibus, in loco aperto crescens. Typus: カメルーン高地の花崗岩インゼルベルク. Species iam extincta.
Discovered / Described
1977 / 1978
草丈 Height
5〜15 cm
生活形 Life form
多年草
葉序 Phyllotaxy
互生
染色体数 Chromosome
2n = 16
開花期 Flowering
撹乱(噴火・野火)の翌季
送粉 Pollination
小型の双翅目・膜翅目
基質・pH Substrate
礫質・ほぼ中性
標高 Elevation
200〜1,200 m
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語源

学名の語源
Petrobryum属名 / GENUS
語源は記録に残っていない
sacrificans種小名 / EPITHET
語源は記録に残っていない
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関連標本

同じ環境の標本

観察記録の追補

再訪と追記
2026-06-24 · 銀殻の縁の胞子嚢

雨季の初め、窪みに水膜が三日ほど残った岩では、銀色に乾いた葉縁から針先ほどの胞子嚢が立つ。柄はほとんどなく、風で遠くへ飛ばすより、水膜の縁に落として近い亀裂へ流し込む仕組みに見える。乾いた殻は死骸というより、胞子を一度だけ押し出す薄い足場であった。

2026-06-24 · 亀裂に残る本体

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2026-06-24 · 放牧路の銀

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