
体のほとんどを、毎回みずから捨ててしまいます。
捨身苔草は、岩肌に低く張りつく直径3cmほどの極小植物。半透明の灰緑色をした鱗のような小さな葉を、コインのように平らに重ねて広げ、その縁から細い糸のような淡い黄緑色の成長点を、暗い岩の亀裂へと伸ばしてしまい込む。裸の花崗岩を覆う薄い水膜の上で世代の大半を終え、水が引くと体のほとんどを乾いた銀色の殻として岩に残し、亀裂の奥の成長点だけを生かしておく。強い日射を浴びるほど、次に再生する成長点だけを選んで守り、残りは惜しげもなく捨てる。だから同じ岩でも、見えている姿はそのつど別の体で、本体はいつも亀裂の暗がりの中にいる。

PLATE I
PLATE II
PLATE III
PLATE IV
PLATE V
PLATE VI
PLATE VII
PLATE VIII
体のほとんどを、毎回みずから捨ててしまいます。
それでもこの植物は、何世代も同じ岩で生き続けます。
カメルーン高地、剥き出しの花崗岩の丘。
裸の岩を覆う薄い水膜は、数日でまた引いていきます。
捨身苔草は、その水膜の上で世代の大半を終えます。
水が引くと、半透明の灰緑色の体は銀色の殻になって岩に残ります。