Archive of Vanished Flora
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泡呼びの草 Sodaphyton pannonicum
Specimen · N°036 · 塩 · ▶ 動画あり

Sodaphyton pannonicum

ある年だけ、岸に現れます。

FOUND 46.8°N 19.2°E · ハンガリー、パンノニア平原の季節性ソーダ湖  ·  ✝ EX · 最終確認 1971 年

泡呼びの草は、高さ20cmほどの湿地植物。青みがかった粉白色の細い葉を低く広げ、淡い乳白色の茎の先に、淡いレモン色の小さな星形の花を上向きにつける。春、湖底からアルカリ水の細かな気泡が立ちのぼる年にだけ、その泡を根に取り込み、地下の酸素を整えて姿を現す。白い塩の地殻が割れた湿った泥に根を下ろし、岸辺にまばらな群落をつくる。泡の少ない年には地上へ出ず、湖底に痕跡を残さない。同じ湖でも、確認できるのは泡の年だけに限られる。

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肖像

縦型のまま / tap to play
FULL FILM · SNSにも公開

「湖の息」

この記録映像は縦型(9:16)で制作され、SNSにも公開されています。アーカイブでは原寸の比率のまま収蔵します。

9:16 VERTICALFULL EDITSOUND ON
Narration · ナレーション音声
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標本図版

8 枚 · ホバーで拡大
泡呼びの草 plate 1PLATE I
泡呼びの草 plate 2PLATE II
泡呼びの草 plate 3PLATE III
泡呼びの草 plate 4PLATE IV
泡呼びの草 plate 5PLATE V
泡呼びの草 plate 6PLATE VI
泡呼びの草 plate 7PLATE VII
泡呼びの草 plate 8PLATE VIII
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観察ノート

Habitat · 発見地
ハンガリー、パンノニア平原の季節性ソーダ湖。強アルカリの水が引いて白い塩の地殻が広がる岸辺の、湿った泥にだけ現れる。
Local name · 現地での呼び名
湖の息
Folklore · 現地伝承
現地では、泡呼びの草が岸に並んだ年は湖がよく息をしていると言われ、水と地面のあいだで交わされる静かなやりとりの印として語り継がれてきた。
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発見地

Coordinates
46.8°N 19.2°E
ハンガリー、パンノニア平原の季節性ソーダ湖
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記録

ある年だけ、岸に現れます。

泡の立たない年には、地上に姿がありません。

ハンガリー、パンノニア平原の季節性ソーダ湖。

強アルカリの水が引くと、白い塩の地殻が岸に広がります。

泡呼びの草は、その割れた湿った泥にだけ現れます。

湖底から立ちのぼる細かな気泡を根に取り込み、地下の酸素を整えて育ちます。

More分類・学名・語源などの詳しい標本データ
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分類

分類・標本データ
Scientific name · 学名
Sodaphyton pannonicum  T. Okabe, 1964
Taxonomy · 分類
植物界 › 被子植物門 › 双子葉植物綱 › SodaphytonalesSodaphytonaceaeSodaphyton › pannonicum
Voucher · 標本
AVF-036 · Holotype
Archive of Vanished Flora (AVF)
Conservation · 保全状況
✝ EX — 絶滅 最終確認 1971 年
Collector · 採集
E. Mori
1964-01-10
Synonym · 異名
Sodaphytonopsis pannonicum N. Drei, 1962
Protologue · 原記載(ラテン)
Herba parva rosulata, foliis crassis glaberrimis, floribus parvis stellatis. Typus: ハンガリー、パンノニア平原の季節性ソーダ湖. Species iam extincta.
Discovered / Described
1964 / 1964
草丈 Height
20cm
生活形 Life form
多年草
葉序 Phyllotaxy
互生
染色体数 Chromosome
2n = 14
開花期 Flowering
短い開花期(数日)
送粉 Pollination
自家受粉が主体
基質・pH Substrate
塩類土・強アルカリ性 (pH 8.5+)
標高 Elevation
200〜1,200 m
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語源

学名の語源
Sodaphyton属名 / GENUS
phyt植物
pannonicum種小名 / EPITHET
語源は記録に残っていない
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関連標本

同じ環境の標本

観察記録の追補

再訪と追記
2026-06-24 · 泡年の泥

岸の塩殻が薄く割れ、靴底の下で泥がかすかに鳴る場所にだけ芽生えが見えた。泡は根が飲むものというより、還元的な泥を一時的にゆるめる合図らしい。黒く硫化物臭のある層が浅い年には休眠芽は動かず、白い膜の下に水脈が戻った年だけ、葉の粉白が地表に現れる。

2026-06-24 · 短い開花

花は強い風の日にはほとんど開かず、晴れて湖面が静かな午前にだけ上を向いた。淡いレモン色は遠目には目立たないが、低い位置を飛ぶ小型の双翅目が数分ずつ止まるのを見た。訪花が乏しい株でも結実はあり、葯が萎むころ柱頭に触れるため、自家和合性が群落の空白年を補っていると思われる。

2026-06-24 · 見えない群落

同じ入り江でも株は線ではなく斑点状に出る。枯れた茎の根元を掘ると、浅い泥中に硬い小粒の種子と短い休眠芽が混じり、塩殻の下で長く待つ構造があった。泡の少ない年に「消える」のは移動でも死滅でもなく、地上部を省く生活史である。記録に残る群落は、地下の種子銀行のごく一部にすぎない。

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