Archive of Vanished Flora
標本を呼び出しています…
雨透草 Hyalopetalum pluviale
Specimen · N°079 · 霧

Hyalopetalum pluviale

雨のあいだだけ、この花は透きとおります。

FOUND 40.5°N 140.1°E · 日本の山地、霧の多い沢沿いの湿った落葉樹林  ·  ✝ EX · 最終確認 2005 年

雨透草は、山あいの湿った落葉樹林の薄暗い林床に生える多年草。丈は三十から四十センチほどで、幅広く浅く裂けた濃緑の葉を広げ、細い花茎の先に白い小さな椀形の花をいくつか咲かせる。晴れた日、花弁はふつうの白い花にしか見えない。ところが雨が降り、花弁が濡れると姿が変わる。花弁の細胞のすきまを満たしていた空気が雨水に置きかわり、光を散らしていた無数の境目が消えるため、白は失われ、花弁は硝子のように透きとおる。透けた花弁ごしには、葉脈も、雨粒も、向こうの薄暗い森まで見える。色素で白いのではなく、微細な構造が光を散らして白く見えていただけなので、水が抜けて乾くと空気がもどり、花はふたたび白い姿に返る。だから透明な花が見られるのは、雨のあいだだけ。乾いた標本には、透けた性質はもう残らない。

01

肖像

標本写真 / archival still
雨透草
STILL · 標本写真

「雨に消える花」

この標本に動く記録は残されていません。静止した一枚に、その姿をとどめています。

ARCHIVAL STILLPLATESILENT
Narration · ナレーション音声
0:00 / --:--
02

標本図版

8 枚 · ホバーで拡大
雨透草 plate 1PLATE I
雨透草 plate 2PLATE II
雨透草 plate 3PLATE III
雨透草 plate 4PLATE IV
雨透草 plate 5PLATE V
雨透草 plate 6PLATE VI
雨透草 plate 7PLATE VII
雨透草 plate 8PLATE VIII
03

観察ノート

Habitat · 発見地
日本の山地、霧の多い沢沿いの湿った落葉樹林。薄暗い林床の、雨のしずくが絶えず落ちる斜面にだけまとまって生える。
Local name · 現地での呼び名
雨に消える花
Folklore · 現地伝承
現地では、雨透草の花が硝子のように透きとおって消える雨の日は、森と水の境が失われる時とされ、この花の咲く沢では雨の日に奥へ入ってはならない、透けた花を数えた者は帰り道を見失う、と古くから語り継がれてきた。
04

発見地

Coordinates
40.5°N 140.1°E
日本の山地、霧の多い沢沿いの湿った落葉樹林
05

記録

雨のあいだだけ、この花は透きとおります。

濡れると白い色が消え、向こうの森まで透けて見えるからです。

日本の山あい、霧の多い沢沿いの、薄暗い落葉樹の林床。

雨が花弁にしみこむと、細胞のすきまの空気が水に置きかわり、光の散乱が消えます。

色を失った花弁は硝子のように透きとおり、葉脈も、雨粒も、そのまま見えます。

けれど雨がやんで乾くと、空気がもどり、花はまた白い姿に返ります。

More分類・学名・語源などの詳しい標本データ
06

分類

分類・標本データ
Scientific name · 学名
Hyalopetalum pluviale  N. Drei, 1998
Taxonomy · 分類
植物界 › 被子植物門 › 双子葉植物綱 › HyalopetalalesHyalopetalaceaeHyalopetalum › pluviale
Voucher · 標本
AVF-079 · Holotype
Archive of Vanished Flora (AVF)
Conservation · 保全状況
✝ EX — 絶滅 最終確認 2005 年
Collector · 採集
N. Drei
1995-08-14
Synonym · 異名
Hyalopetalopsis pluviale M. Castellan, 1993
Protologue · 原記載(ラテン)
Herba perennis, rhizomate tenui, foliis linearibus, inflorescentia pauciflora. Typus: 日本の山地、霧の多い沢沿いの湿った落葉樹林. Species iam extincta.
Discovered / Described
1995 / 1998
草丈 Height
5〜15 cm
生活形 Life form
多年草
葉序 Phyllotaxy
互生
染色体数 Chromosome
2n = 28
開花期 Flowering
短い開花期(数日)
送粉 Pollination
風媒
基質・pH Substrate
礫質・ほぼ中性
標高 Elevation
200〜1,200 m
07

語源

学名の語源
Hyalopetalum属名 / GENUS
語源は記録に残っていない
pluviale種小名 / EPITHET
pluvi
08

関連標本

同じ環境の標本
⟵ 標本世界地図
EN