
白い砂丘で、夜だけ草が縮みます。
縮み根草は、白い石膏の砂から十数センチほど立ち上がる、ほっそりとした砂漠の植物。細い灰緑色の葉を低く広げ、淡い乳白色の小さな筒状の花をいくつか咲かせる。花の奥にはかすかな砂色がにじむ。この植物の不思議は、その姿が一日のうちに大きさを変えることにある。夜になると体の組織のつなぎ目をみずから緩め、全体をひとまわり縮ませる。乾いた砂漠の夜、白い砂の粒のすきまでは石膏の結晶が静かに育ち、根や茎を内側から押し広げて壊そうとする。縮み根草はあえて体を緩めて柔らかくすることで、その結晶の力を受け流し、組織が裂けるのを防いでいる。そして朝の光が砂丘に差すと、緩めたつなぎ目を再び固め直し、もとの背丈に戻って一日を立つ。だから昼間に見ても、夜の縮みの痕跡はどこにも残らない。縮んでいるのは、夜の数時間だけだ。

PLATE I
PLATE II
PLATE III
PLATE IV
PLATE V
PLATE VI
PLATE VII
PLATE VIII
この草は夜の数時間だけ、こっそり体を縮めます。
壊れるより縮むことを選んだからです。
米国ニューメキシコ、ホワイトサンズの白い石膏砂丘。
乾いた砂漠の夜、白い砂の粒のすきまで、石膏の結晶が静かに育ちます。
その結晶は根や茎を内側から押し広げ、壊そうとします。
だから縮み根草は、夜のあいだ体のつなぎ目を自分で緩め、力を受け流します。