Archive of Vanished Flora
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一世花塔 Turrantha hapaxantha
Specimen · N°071 · 岩

Turrantha hapaxantha

数十年にただ一度だけ咲いて、そのまま枯れて消えていく花があります。

FOUND 16.5°S 68.2°W · アンデス高地のプーナ(ペルー/ボリビア、標高3000〜4000m)  ·  ✝ EX · 最終確認 2024 年

一世花塔は、アンデス高地の荒野に低く広がるロゼットをつくる大型植物。厚く硬い革質の葉を放射状に密に重ね、鋭い縁で乾いた風と強い紫外線から芯を守る。標高が高く夜は凍え、日中も乾くこの地では成長が極端に遅く、株は数十年をかけて葉の付け根に養分をため込み続ける。そしてある年、たくわえたすべてを一度に使い、中心から人の背丈をはるかに超える一本の花序を立ち上げる。高く伸ばすのは、冷えて淀む地表の空気から花を引き離し、乾いた風とわずかな訪花者に受粉を託すためだ。無数の花が咲き、実を結ぶ頃には株は養分を使い果たし、緑を失って音もなく立ち枯れていく。開花はこの植物の一生でただ一度、最初で最後の出来事だ。

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肖像

標本写真 / archival still
一世花塔
STILL · 標本写真

「荒野の一本塔」

この標本に動く記録は残されていません。静止した一枚に、その姿をとどめています。

ARCHIVAL STILLPLATESILENT
Narration · ナレーション音声
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標本図版

8 枚 · ホバーで拡大
一世花塔 plate 1PLATE I
一世花塔 plate 2PLATE II
一世花塔 plate 3PLATE III
一世花塔 plate 4PLATE IV
一世花塔 plate 5PLATE V
一世花塔 plate 6PLATE VI
一世花塔 plate 7PLATE VII
一世花塔 plate 8PLATE VIII
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観察ノート

Habitat · 発見地
アンデス高地のプーナ(ペルー/ボリビア、標高3000〜4000m)。凍える夜と乾いた昼が繰り返す、木も生えない吹きさらしの高原。乾いた岩屑とまばらな枯れ草だけが広がる、ほとんど何もない大地に現れる。
Local name · 現地での呼び名
荒野の一本塔
Folklore · 現地伝承
現地では、この塔が立つのを見られるのは一生に一度あるかないかとされ、塔が枯れて倒れた場所はしばらく荒野の目印として語り継がれ、次に別の塔が立つ頃には見た者はもういない、と言い伝えられてきた。
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発見地

Coordinates
16.5°S 68.2°W
アンデス高地のプーナ(ペルー/ボリビア、標高3000〜4000m)
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記録

数十年にただ一度だけ咲いて、そのまま枯れて消えていく花があります。

アンデスの高地、標高四千メートルの荒野。

何もない大地に、人の背丈をはるかに超える花の塔が、たった一本だけ立ちます。

この株は、数十年をかけて静かに養分をため、たくわえたすべてを一度に使い、この塔を立ち上げました。

無数の花が実を結ぶ頃、株は力を使い果たし、緑を失って立ち枯れていきます。

開花は、その一生でただ一度、最初で最後の出来事です。

More分類・学名・語源などの詳しい標本データ
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分類

分類・標本データ
Scientific name · 学名
Turrantha hapaxantha  A. Reinholt, 2026
Taxonomy · 分類
植物界 › 被子植物門 › 双子葉植物綱 › TurranthalesTurranthaceaeTurrantha › hapaxantha
Voucher · 標本
AVF-071 · Holotype
Archive of Vanished Flora (AVF)
Conservation · 保全状況
✝ EX — 絶滅 最終確認 2024 年
Collector · 採集
N. Drei
2023-12-12
Synonym · 異名
Turranthopsis hapaxantha L. Fontaine, 2021
Protologue · 原記載(ラテン)
Herba perennis, rhizomate tenui, foliis linearibus, inflorescentia pauciflora. Typus: アンデス高地のプーナ(ペルー/ボリビア、標高3000〜4000m). Species iam extincta.
Discovered / Described
2023 / 2026
草丈 Height
5〜15 cm
生活形 Life form
ロゼット状の多年草
葉序 Phyllotaxy
根生葉(ロゼット)
染色体数 Chromosome
2n = 36
開花期 Flowering
夜明け前〜早朝の数時間
送粉 Pollination
夜行性の小型蛾
基質・pH Substrate
礫質・ほぼ中性
標高 Elevation
200〜1,200 m
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語源

学名の語源
Turrantha属名 / GENUS
anth
hapaxantha種小名 / EPITHET
anth
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関連標本

同じ環境の標本

観察記録の追補

再訪と追記
2026-06-24 · 標本に残らない輪

乾いた押し葉では、時環苔桃はただの小型のクッション植物に見える。霜の夜にだけ表面へ浮く淡い環状の硬化部は、採集後の融解と圧搾で消え、中心部の修復痕も薄い褐色のしみとして残るにすぎない。古い標本が苔類、あるいは既知の高山クッション植物として整理された理由は、この失われやすい徴候にあると思われる。

2026-06-24 · 縁からの更新

花は見当たらない季節の方が長い。株の縁では凍結と融解をくり返すうちに浅い裂け目が入り、豆粒ほどの小片が湿った泥炭に落ちて発根する。朝の融け水や細い湿原水路に運ばれた断片は、同じ水位の窪地で止まり、新しい半球を作る。送粉者に頼らないこの更新なら、霧と霜の多いパラモでも群落が途切れにくい。

2026-06-24 · 火山灰の浅い窪地

分布は草原全体ではなく、若い火山灰が泥炭と混じる浅い凹地に限られる。灰は細かな孔隙に水を抱くが、斜面の砂礫ほど早く流さない。夜には表層だけが薄く凍り、昼には霧と地熱の残りでゆるむ。この排水と保水の中間の床が、浅い根を乾かさず、同時に毎夜の凍結時計を株の外側へ与えている。

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