Archive of Vanished Flora
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融雪緋穂 Nivicrista cruenta
Specimen · N°067 · 氷

Nivicrista cruenta

緑をひとつも持たない植物が、雪解けの縁に、赤い穂だけを立てます。

FOUND 37.8°N 119.6°W · シエラネバダ山脈、標高約2000mの針葉樹林  ·  ✝ EX · 最終確認 1977 年

融雪緋穂は、緑をまったく持たない植物だ。葉緑素を欠くため自分では光合成をせず、地中に張った菌の糸から養分を横取りして育つ、菌従属栄養の一種である。栄養を光に頼らないので、ほかの植物がまだ芽吹けない冷えた地面でも立ち上がることができる。春、積もった雪が斜面から少しずつ退いていくと、温まりはじめた地面の縁に、血のように赤い肉厚の穂だけが土を持ち上げて現れる。緑の葉は一枚もなく、赤い鱗片状の苞に覆われた穂の全体が同じ深紅に染まる。この赤は葉緑素の代わりの色素によるもので、冷えた地表でもよく目立つ。雪を突き破って出るのではない。雪が退いて地面が現れた、その"雪解けの縁"にだけ姿を見せる。花が終われば穂は褐色に枯れ落ち、また地中の菌との関係だけが土の下に残る。

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肖像

標本写真 / archival still
融雪緋穂
STILL · 標本写真

「雪解けの血」

この標本に動く記録は残されていません。静止した一枚に、その姿をとどめています。

ARCHIVAL STILLPLATESILENT
Narration · ナレーション音声
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標本図版

8 枚 · ホバーで拡大
融雪緋穂 plate 1PLATE I
融雪緋穂 plate 2PLATE II
融雪緋穂 plate 3PLATE III
融雪緋穂 plate 4PLATE IV
融雪緋穂 plate 5PLATE V
融雪緋穂 plate 6PLATE VI
融雪緋穂 plate 7PLATE VII
融雪緋穂 plate 8PLATE VIII
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観察ノート

Habitat · 発見地
シエラネバダ山脈、標高約2000mの針葉樹林。積もった雪が斜面から退いていく融雪線(雪解けの縁)、マツやモミの木陰の腐植に富んだ暗い地面に現れる。
Local name · 現地での呼び名
雪解けの血
Folklore · 現地伝承
現地では、退いていく雪の縁に緋の穂が並ぶと、その斜面にはもうその冬の雪は戻らないとされ、山が冬を出し切った証しとして語り継がれてきた。この赤い列を見た者は、じきに森の地面が目を覚ますと知る。
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発見地

Coordinates
37.8°N 119.6°W
シエラネバダ山脈、標高約2000mの針葉樹林
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記録

緑をひとつも持たない植物が、雪解けの縁に、赤い穂だけを立てます。

光では生きません。地中の菌から、養分を奪って育ちます。

シエラネバダの針葉樹林、標高およそ二千メートル。

雪が斜面から退くと、温まった地面の縁に、血のような赤が現れます。

葉は一枚もなく、穂のすべてが同じ深紅に染まっています。

雪を突き破るのではありません。雪が去った跡にだけ、静かに立ちます。

More分類・学名・語源などの詳しい標本データ
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分類

分類・標本データ
Scientific name · 学名
Nivicrista cruenta  R. Salvà, 1974
Taxonomy · 分類
植物界 › 被子植物門 › 双子葉植物綱 › NivicristalesNivicristaceaeNivicrista › cruenta
Voucher · 標本
AVF-067 · Holotype
Archive of Vanished Flora (AVF)
Conservation · 保全状況
✝ EX — 絶滅 最終確認 1977 年
Collector · 採集
N. Drei
1971-08-11
Synonym · 異名
Nivicristopsis cruenta H. Voss, 1969
Protologue · 原記載(ラテン)
Herba perennis, rhizomate tenui, foliis linearibus, inflorescentia pauciflora. Typus: シエラネバダ山脈、標高約2000mの針葉樹林. Species iam extincta.
Discovered / Described
1971 / 1974
草丈 Height
5〜15 cm
生活形 Life form
多年草
葉序 Phyllotaxy
互生
染色体数 Chromosome
2n = 28
開花期 Flowering
短い開花期(数日)
送粉 Pollination
小型の双翅目・膜翅目
基質・pH Substrate
礫質・ほぼ中性
標高 Elevation
200〜1,200 m
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語源

学名の語源
Nivicrista属名 / GENUS
語源は記録に残っていない
cruenta種小名 / EPITHET
語源は記録に残っていない
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関連標本

同じ環境の標本

観察記録の追補

再訪と追記
2026-06-24 · 沖積粘土と腐植の戻り

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