
この幹の太さだけが、最後の雨からの月数を示します。
渇き瓶樹は、乾いたサバンナに点々と立つ高木。太く膨らんだ徳利型の幹に対して、梢は驚くほど疎らで、数本の裸枝が空へ伸びるだけだ。幹の内部は海綿状のやわらかい木質でできていて、雨季に吸い上げた水をたっぷり蓄える。バオバブやパキポディウムと同じく、この貯水した肥大幹は水の出し入れで膨らんだり縮んだりする。乾季が進むほど樹は蓄えた水を使い、幹はまわりから目に見えて痩せていく。滑らかな樹皮には、水が抜けるにつれて横じわのたるみが少しずつ刻まれ、胴回りの太さがそのまま最後の雨から経った月数を映す。太い胴はまだ水が残る証、細く締まった胴は渇きの深さを示す。雨が戻れば、幹はふたたび静かに膨らみ、しわは伸びて消えていく。

PLATE I
PLATE II
PLATE III
PLATE IV
PLATE V
PLATE VI
PLATE VII
PLATE VIII
この幹の太さだけが、最後の雨からの月数を示します。
乾季のあいだ、樹はためた水を少しずつ使い、そのぶん幹が痩せていくからです。
アフリカ南部、季節ごとに乾ききるサバンナ。
徳利のように膨らんだ胴に、雨季の水をたっぷり蓄えます。
日照りが続くほど水は減り、滑らかな樹皮に横じわのたるみが増えていきます。
胴が太ければまだ水は残り、細く締まっていれば、次の雨は遠い。
降雨の翌朝、株元の亀裂を細い筆で払うと、前年の根が移動した痕跡ではなく、休眠していた太根の側面から白い吸水根が一斉に伸びていた。石膏の溶解で生じた小空隙に沿い、二日ほどで先端は褐変する。植物が丘を歩くのではなく、短い湿りを使い捨ての根で測っている、と見るべきである。
開花は斜面がまだ冷えている午前に限られ、杯形花の底の赤みには小型の地中営巣性ハナバチが短く立ち寄る。風の強い年には葯が閉じたまま柱頭に触れ、ほとんど閉鎖花に近い結実をする。果実は裂開せず、乾くと二、三粒の重い種子を株元の割れ目へ落とすだけで、群落が疎らな理由もここにある。
古い塩道に沿う牧畜民は、雨後にこの花の色が強まった斜面へ山羊を入れないという。表土が固く見えても、下では石膏の薄板が浮き、蹄で崩れるためである。『根を編み直す花』という名は、植物だけでなく、雨のあと水場へ向かう道を選び直すための目印でもあったらしい。