Archive of Vanished Flora
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筏寄せ草 Confluvia contigua
Specimen · N°064 · 湿地

Confluvia contigua

根を持たない草が、ぶつかった時にだけ咲きます。

FOUND 2.5°S 60.9°W · 南米アマゾン川流域、リオ・ネグロのような紅茶色の黒水がよどむ後背湿地の入り江  ·  ✝ EX · 最終確認 2001 年

筏寄せ草は、根を持たず水面を漂う小さな浮草。淡い緑の葉を放射状に重ね、水面すれすれに平たいロゼットを浮かべる。葉裏の細かな気室が浮力を生み、株はどこにも根を下ろさず、紅茶色の黒水の上をただ流れていく。よどんだ入り江には水面下を走る見えない流れの筋があり、漂う株はその筋に沿って寄り集まり、やがて幾百もの株が組み合わさった筏になる。ふだん花はつけない。ところが流れに押された筏どうしが縁でぶつかり合うと、押し合う圧が触れた株に伝わり、刺激を受けた縁の株だけが小さな淡紫の花を開く。ぶつかり合いがほどけて筏が離れれば花は再び閉じ、咲いていた印はどこにも残らない。だから花が見られるのは、二つの筏が触れ合っていたわずかな間だけだ。

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肖像

標本写真 / archival still
筏寄せ草
STILL · 標本写真

「寄り合い花」

この標本に動く記録は残されていません。静止した一枚に、その姿をとどめています。

ARCHIVAL STILLPLATESILENT
Narration · ナレーション音声
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標本図版

8 枚 · ホバーで拡大
筏寄せ草 plate 1PLATE I
筏寄せ草 plate 2PLATE II
筏寄せ草 plate 3PLATE III
筏寄せ草 plate 4PLATE IV
筏寄せ草 plate 5PLATE V
筏寄せ草 plate 6PLATE VI
筏寄せ草 plate 7PLATE VII
筏寄せ草 plate 8PLATE VIII
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観察ノート

Habitat · 発見地
南米アマゾン川流域、リオ・ネグロのような紅茶色の黒水がよどむ後背湿地の入り江。流れがほとんど止まり、水面下にだけゆるやかな筋が走る、人の入らない静かな水面に浮かぶ。
Local name · 現地での呼び名
寄り合い花
Folklore · 現地伝承
現地では、ふたつの筏が出会って花を咲かせた入り江は、離れた者が再び巡り会う吉兆とされ、舟をあやつる人々はその花筏を見た日を心にとどめてきたという。
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発見地

Coordinates
2.5°S 60.9°W
南米アマゾン川流域、リオ・ネグロのような紅茶色の黒水がよどむ後背湿地の入り江
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記録

根を持たない草が、ぶつかった時にだけ咲きます。

ふたつの筏が押し合う力だけが、花を開かせる合図だからです。

南米アマゾン、よどんだ紅茶色の黒水の入り江。

根を持たない小さな浮草は、水面下を走る見えない流れの筋に沿って寄り集まります。

幾百もの株が組み合わさり、やがて一枚の筏になります。

流れに押された筏どうしが縁でぶつかると、触れ合った株だけが、小さな淡紫の花を開きます。

More分類・学名・語源などの詳しい標本データ
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分類

分類・標本データ
Scientific name · 学名
Confluvia contigua  L. Fontaine, 1998
Taxonomy · 分類
植物界 › 被子植物門 › 双子葉植物綱 › ConfluvialesConfluviaceaeConfluvia › contigua
Voucher · 標本
AVF-064 · Holotype
Archive of Vanished Flora (AVF)
Conservation · 保全状況
✝ EX — 絶滅 最終確認 2001 年
Collector · 採集
E. Mori
1998-05-17
Synonym · 異名
Confluviopsis contigua R. Salvà, 1996
Protologue · 原記載(ラテン)
Herba parva rosulata, foliis crassis glaberrimis, floribus parvis stellatis. Typus: 南米アマゾン川流域、リオ・ネグロのような紅茶色の黒水がよどむ後背湿地の入り江. Species iam extincta.
Discovered / Described
1998 / 1998
草丈 Height
5〜15 cm
生活形 Life form
ロゼット状の多年草
葉序 Phyllotaxy
根生葉(ロゼット)
染色体数 Chromosome
2n = 22
開花期 Flowering
短い開花期(数日)
送粉 Pollination
小型の双翅目・膜翅目
基質・pH Substrate
礫質・ほぼ中性
標高 Elevation
200〜1,200 m
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語源

学名の語源
Confluvia属名 / GENUS
語源は記録に残っていない
contigua種小名 / EPITHET
語源は記録に残っていない
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関連標本

同じ環境の標本

観察記録の追補

再訪と追記
2026-06-24 · 早春の結実

三月下旬、坑道口の風がまだ冷たい朝にだけ、花冠の内側へ小型のハナバチが短く潜るのを見た。訪花はまばらで、午後の乾いた風が出るころには花は閉じ気味になる。それでも未訪花の株にも莢は残り、弱い自家和合で保険をかけているらしい。競争相手の少ない礫地では、少数の重い種子を確実に熟させるほうが、花を増やすより理にかなう。

2026-06-24 · 列をつくる種子

熟した莢は裂けても種子を遠くへ弾かない。粒は黒く重く、蛇紋岩片の間にすぐ落ちる。秋の最初の雨でだけ、泥水に押されて数十センチほど動き、金属を含む褐色土と洗われた灰白色土の境に止まる。翌春の実生が親株の周囲でなく等高線状に並ぶのは、この短い水散布のためと考えられる。

2026-06-24 · 採集されなかった理由

標本にするには時期が悪すぎる。花は春の二、三週間だけで、乾季に入ると葉も銀色の縮れた座布団のようになり、既知の蛇紋岩性ナデシコ類か小型アブラナ類に紛れる。根を掘っても、金属を呑んだ側根はすでに軟化して崩れ、清浄土側の細根だけが残る。旧鉱山という調査地でありながら、名ではなく誤同定として残った可能性が高い。

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