Archive of Vanished Flora
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器返し草 Metallophila reciproca
Specimen · N°040 · 湿地

Metallophila reciproca

ふだんは葉に金属をため込んでいます。

FOUND 30.7°N 88.0°W · 米国アラバマ州沿岸平野の湿性サバンナと、ピッチャープラントの育つ酸性貧栄養の泥炭湿地  ·  ✝ EX · 最終確認 2019 年

器返し草は、高さ25cmほどの湿地植物。細い灰緑色の草状の葉を低く広げ、その葉にはかすかな銀色の金属光沢がある。淡い緑の細い茎の先に、銅色を帯びた淡い薔薇色の星形の小花を上向きにひとつつけ、その中心は深い琥珀色をしている。ふだんこの植物は、酸性湿地の土から吸い上げたアルミニウムを葉にため込み、葉を金属で守っている。ところが花を開く直前の短いあいだだけ、ためた金属を葉から根へ送り返し、花器を金属から守る。そのとき葉の化学組成はまるで別種のように変わり、なぜ貯蔵場所を逆転させるのかは、まだ分かっていない。

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肖像

標本写真 / archival still
器返し草
STILL · 標本写真

「器を返す草」

この標本に動く記録は残されていません。静止した一枚に、その姿をとどめています。

ARCHIVAL STILLPLATESILENT
Narration · ナレーション音声
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標本図版

8 枚 · クリックで拡大
器返し草 plate 1PLATE I
器返し草 plate 2PLATE II
器返し草 plate 3PLATE III
器返し草 plate 4PLATE IV
器返し草 plate 5PLATE V
器返し草 plate 6PLATE VI
器返し草 plate 7PLATE VII
器返し草 plate 8PLATE VIII
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観察ノート

Habitat · 発見地
米国アラバマ州沿岸平野の湿性サバンナと、ピッチャープラントの育つ酸性貧栄養の泥炭湿地。スファグナムの広がる黒い湿った泥炭にだけ根を下ろす。
Local name · 現地での呼び名
器を返す草
Folklore · 現地伝承
現地では、この草が金属を葉から根へ返すと花が開くと言われ、咲く前にいったん身を空にする草として語り継がれてきた。
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発見地

Coordinates
30.7°N 88.0°W
米国アラバマ州沿岸平野の湿性サバンナと、ピッチャープラントの育つ酸性貧栄養の泥炭湿地
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記録

ふだんは葉に金属をため込んでいます。

ところが花を開く直前だけ、それを根へ送り返します。

米国アラバマ州、沿岸平野の酸性湿地。

器返し草は、ピッチャープラントの育つ黒い泥炭にだけ根を下ろします。

細い灰緑の葉には、銀色の金属光沢があります。

吸い上げたアルミニウムを葉にため、葉を守って暮らしています。

More分類・学名・語源などの詳しい標本データ
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分類

分類・標本データ
Scientific name · 学名
Metallophila reciproca  H. Voss, 2016
Taxonomy · 分類
植物界 › 被子植物門 › 双子葉植物綱 › MetallophilalesMetallophilaceaeMetallophila › reciproca
Voucher · 標本
AVF-040 · Holotype
Archive of Vanished Flora (AVF)
Conservation · 保全状況
✝ EX — 絶滅 最終確認 2019 年
Collector · 採集
E. Mori
2016-05-11
Synonym · 異名
Metalloopsis reciproca Y. Aoki, 2014
Protologue · 原記載(ラテン)
Herba parva rosulata, foliis crassis glaberrimis, floribus parvis stellatis. Typus: 米国アラバマ州沿岸平野の湿性サバンナと、ピッチャープラントの育つ酸性貧栄養の泥炭湿地. Species iam extincta.
Discovered / Described
2016 / 2016
草丈 Height
25cm
生活形 Life form
多年草
葉序 Phyllotaxy
互生
染色体数 Chromosome
2n = 22
開花期 Flowering
撹乱(噴火・野火)の翌季
送粉 Pollination
小型の双翅目・膜翅目
基質・pH Substrate
酸性泥炭 (pH 3.8〜4.5)
標高 Elevation
200〜1,200 m
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語源

学名の語源
Metallophila属名 / GENUS
phil〜を好む
reciproca種小名 / EPITHET
語源は記録に残っていない
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関連標本

同じ環境の標本

観察記録の追補

再訪と追記
2026-06-24 · 記録に残らぬ季節

非開花期の器返し草は、灰緑の細葉を泥炭面に伏せ、周囲のカヤツリグサ類や若いワイヤーグラスに紛れる。花は火入れ後二年目の春、湿った曇天の数日だけ開く。葉を採ればアルミニウム濃度の高い湿地草、蕾前に採れば別種めいた低金属の標本となり、古い採集票が沈黙した理由はそこにある。

2026-06-24 · 送粉と火の後の裸地

開花日の午前、琥珀色の中心には小型のハナバチと湿地性のハエが短く訪れる。蜜は乏しく、花粉だけを目当てにした速い出入りで、午後には柱頭が乾き始める。種子は軽いが遠くへ飛ばず、火入れで露出したスファグナムの切れ目、灰を薄く噛んだ黒泥炭でだけ翌冬に発芽をそろえる。

2026-06-24 · 返る器の名

沿岸平野の古い採草地では、これを returning cup grass、または empty-cup grass と呼んだという。樹脂採取の道沿いや焼かれた湿地を歩く者は、花の前に葉の銀気が鈍ることを知っていた。器を空にして咲くという言い方は比喩に聞こえるが、葉から根へ金属が退く短い相を見た記憶としては妙に正確である。

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