Archive of Vanished Flora
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沈み花 Paludis mergens
Specimen · N°021 · 湿地 · ▶ 動画あり

Paludis mergens

咲いた花は、数時間で泥炭に沈んで消えます。

FOUND 58.4°N 4.5°W · スコットランド北部の泥炭湿原  ·  ✝ EX · 最終確認 1975 年

沈み花は、高さ10〜18cmの湿地植物。スポンジ状の泥炭に細い根を浅く張り、線形の緑の葉をロゼット状に広げる。長い細茎の先に、淡い黄色の杯形の花をひとつだけ咲かせる。花は夜明けにひらき、数時間で閉じる。

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肖像

縦型のまま / tap to play
FULL FILM · SNSにも公開

「泥に還る花」

この記録映像は縦型(9:16)で制作され、SNSにも公開されています。アーカイブでは原寸の比率のまま収蔵します。

9:16 VERTICALFULL EDITSOUND ON
Narration · ナレーション音声
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標本図版

8 枚 · ホバーで拡大
沈み花 plate 1PLATE I
沈み花 plate 2PLATE II
沈み花 plate 3PLATE III
沈み花 plate 4PLATE IV
沈み花 plate 5PLATE V
沈み花 plate 6PLATE VI
沈み花 plate 7PLATE VII
沈み花 plate 8PLATE VIII
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観察ノート

Habitat · 発見地
スコットランド北部の泥炭湿原。水を多く含んだ酸性の泥炭が広がる、ブランケットボッグと呼ばれる湿地。
Local name · 現地での呼び名
泥に還る花
Folklore · 現地伝承
現地では、沈み花が多い夏は泥炭がよく育ち、土地が水を蓄えるとされてきた。
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発見地

Coordinates
58.4°N 4.5°W
スコットランド北部の泥炭湿原
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記録

咲いた花は、数時間で泥炭に沈んで消えます。

翌日には、もう痕跡が残っていません。

スコットランド北部の、泥炭湿原。

水を多く含んだ、酸性の泥の大地です。

夜明け、霧の中で、細い茎の先に淡い黄色の杯形の花がひらきます。

けれど数時間で花は閉じ、やわらかな泥炭がその上を覆います。

More分類・学名・語源などの詳しい標本データ
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分類

分類・標本データ
Scientific name · 学名
Paludis mergens  A. Reinholt, 1968
Taxonomy · 分類
植物界 › 被子植物門 › 双子葉植物綱 › PaludalesPaludaceaePaludis › mergens
Voucher · 標本
AVF-021 · Holotype
Archive of Vanished Flora (AVF)
Conservation · 保全状況
✝ EX — 絶滅 最終確認 1975 年
Collector · 採集
Y. Aoki
1967-10-13
Synonym · 異名
Paludopsis mergens L. Fontaine, 1965
Protologue · 原記載(ラテン)
Planta humilis, caule brevissimo, petalis albidis nitentibus, in loco aperto crescens. Typus: スコットランド北部の泥炭湿原. Species iam extincta.
Discovered / Described
1967 / 1968
草丈 Height
10〜18cm
生活形 Life form
ロゼット状の多年草
葉序 Phyllotaxy
根生葉(ロゼット)
染色体数 Chromosome
2n = 32
開花期 Flowering
夜明け前〜早朝の数時間
送粉 Pollination
夜行性の小型蛾
基質・pH Substrate
酸性泥炭 (pH 3.8〜4.5)
標高 Elevation
200〜1,200 m
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語源

学名の語源
Paludis属名 / GENUS
paludis沼の
mergens種小名 / EPITHET
merg沈む
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関連標本

同じ環境の標本

観察記録の追補

再訪と追記
2026-06-24 · 夜明けの受粉

開花直後の杯の内側には、露とは別の細い湿りが残る。葯は柱頭に近く、風のない朝でも花粉は内側へ落ちる配置で、主な結実は自家受粉によるものと見てよい。ただ、低水位の朝には微小な双翅目の歩いた跡が花粉面に残り、まれな交雑の通路も閉じてはいない。

2026-06-24 · 泥炭へ戻る花柄

閉花後の花柄は単に倒れるのではなく、基部近くからゆっくり屈曲し、子房をミズゴケの毛細水が保たれる浅いくぼみへ戻す。乾いた風の上へ種子を掲げるより、酸性で飽水した表層に果実を伏せる方が、発芽床を選び直す手間を植物自身が省くことになる。

2026-06-24 · 記録からの欠落

群落は一見まとまって見えるが、花が開くのは年に数度、水位が数センチ下がった翌朝に限られる。昼には杯が閉じ、翌日には花柄ごと泥炭面へ沈むため、採集標本には葉だけが残りやすい。古い地方目録のミミカキグサ類、または小型の湿原性キンポウゲ類の記載に紛れた可能性が高い。

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