Archive of Vanished Flora
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潮明り花 Antrophila aestuaria
Specimen · N°028 · 海 · ▶ 動画あり

Antrophila aestuaria

潮が満ちて、光が射しこむ数時間にだけ開きます。

FOUND 33.5°N 135.8°E · 日本の岩礁海岸にうがたれた海食洞の奥  ·  ✝ EX · 最終確認 1999 年

潮明り花は、高さ5〜10cmの岩生植物。湿った岩の隙間に着生し、葉は厚く光沢がある。満潮で反射光が差し込む数時間だけ、淡い青白い花を開く。潮が引いて光が消えると、花は閉じる。

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肖像

縦型のまま / tap to play
FULL FILM · SNSにも公開

「潮あかりの花」

この記録映像は縦型(9:16)で制作され、SNSにも公開されています。アーカイブでは原寸の比率のまま収蔵します。

9:16 VERTICALFULL EDITSOUND ON
Narration · ナレーション音声
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標本図版

8 枚 · ホバーで拡大
潮明り花 plate 1PLATE I
潮明り花 plate 2PLATE II
潮明り花 plate 3PLATE III
潮明り花 plate 4PLATE IV
潮明り花 plate 5PLATE V
潮明り花 plate 6PLATE VI
潮明り花 plate 7PLATE VII
潮明り花 plate 8PLATE VIII
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観察ノート

Habitat · 発見地
日本の岩礁海岸にうがたれた海食洞の奥。満潮時に外の光が水面で反射し、洞の天井と岩棚を照らす場所。
Local name · 現地での呼び名
潮あかりの花
Folklore · 現地伝承
現地では、潮明り花が開く時刻は満潮と重なるため、漁師が潮の目安にしたといわれてきた。
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発見地

Coordinates
33.5°N 135.8°E
日本の岩礁海岸にうがたれた海食洞の奥
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記録

潮が満ちて、光が射しこむ数時間にだけ開きます。

この花は、海の洞窟の奥に生きています。

日本の、岩礁にうがたれた海食洞。

満潮になると、水面で反射した光が天井を照らします。

ゆらめく光が岩肌を渡るあいだ、

潮明り花は、淡い青白い花を静かに開きます。

More分類・学名・語源などの詳しい標本データ
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分類

分類・標本データ
Scientific name · 学名
Antrophila aestuaria  C. Iwabuchi, 1992
Taxonomy · 分類
植物界 › 被子植物門 › 双子葉植物綱 › AntrophilalesAntrophilaceaeAntrophila › aestuaria
Voucher · 標本
AVF-028 · Holotype
Archive of Vanished Flora (AVF)
Conservation · 保全状況
✝ EX — 絶滅 最終確認 1999 年
Collector · 採集
E. Mori
1992-05-08
Synonym · 異名
Antroopsis aestuaria A. Reinholt, 1990
Protologue · 原記載(ラテン)
Herba parva rosulata, foliis crassis glaberrimis, floribus parvis stellatis. Typus: 日本の岩礁海岸にうがたれた海食洞の奥. Species iam extincta.
Discovered / Described
1992 / 1992
草丈 Height
5〜10cm
生活形 Life form
多年草
葉序 Phyllotaxy
互生
染色体数 Chromosome
2n = 22
開花期 Flowering
干潮時の数時間(1日2回)
送粉 Pollination
風媒
基質・pH Substrate
礫質・ほぼ中性
標高 Elevation
0〜15 m
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語源

学名の語源
Antrophila属名 / GENUS
antro洞窟
phil〜を好む
aestuaria種小名 / EPITHET
aestu
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関連標本

同じ環境の標本

観察記録の追補

再訪と追記
2026-06-24 · 満潮下の送粉

満潮の前後、洞口から入る反射光が岩棚をなめる時刻に、花冠の内側だけが青白く浮いた。花に大きな訪花昆虫は見られないが、濡れた藻屑の上を歩く潮間帯性の小型ハエ類が、花糸の根元に短く滞在する。風の乏しい洞奥では、花の開閉は潮位そのものより、この一時的な光と微小な飛翔者の活動に合わせられたものと思われる。

2026-06-24 · 岩隙への定着

閉じた花のいくつかは、開花せずに果実を結ぶ閉鎖花であった。熟した果実は乾かず、種子は半透明の粘質に包まれる。満潮時の飛沫がこれを岩面へ押し流し、淡水の染み出す細い割れ目にだけ残すらしい。群落が洞ごとに小さく途切れるのは、種子が遠くへ運ばれにくく、同じ洞内で世代を重ねるためと考えられる。

2026-06-24 · 記録されなかった理由

干潮時の株は、高さの低い厚葉のロゼットにすぎず、黒く湿った岩上では苔類や小型のイワレンゲ類と紛れた。花が開く満潮時には洞奥の岩棚へ近づけず、標本を採るには危険が大きい。明治期の採集帳に一度だけ「海洞ノ白花苔」とあるが、押し葉では花色も開閉運動も失われ、この植物として扱われなかった理由はそこにある。

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