
夜にだけ開き、朝には螺旋に巻きます。
夜螺旋花は、高さ12〜18cmほどの多肉質の多年草。灰緑色の厚い剣状の葉が放射状のロゼットを作る。花は白く、夜にだけ開き、夜明けとともに花弁が螺旋を描いて巻き戻り、小さな貝のようにしぼむ。
PLATE I
PLATE II
PLATE III
PLATE IV
PLATE V
PLATE VI
PLATE VII
PLATE VIII
夜にだけ開き、朝には螺旋に巻きます。
その姿を見られるのは、夜の数時間だけです。
マダガスカルの、剃刀のような石灰岩の台地。
灰色の鋭い岩の隙間に、夜螺旋花は根を張ります。
灰緑色の厚い剣のような葉が、放射状のロゼットを作ります。
やがて、その中心から白い花が静かに開きます。
日没後二時間ほどで、開いた白花の喉部に細い鱗粉が点々と残る。映像には虫影を入れなかったが、翌朝の柱頭には淡褐色の粉が片側だけ付く株が多い。飛来者は口吻の短い小型の夜蛾らしく、花は香りを強める代わりに蜜量を抑え、石灰岩の割れ目に沿って低く咲く。
雨季の初め、螺旋状に閉じた花の基部だけが短く膨らみ、十日ほどで乾いた蒴果になる。種子は風に乗るほど軽くなく、雨滴に弾かれてすぐ下の溝へ落ちる。群落の株間が不規則なのはこのためで、親株の周囲に密生せず、石灰岩の細い水みちに沿って数十センチ間隔で現れる。
夜明けの花弁は、強い乾風の日ほど早く固く巻く。これは花粉と柱頭を紫外線と脱水から守る運動と見てよい。ツィンギ周辺で放牧や蜂蜜採集をする人々は、雨季前の移動を決める頃、この巻きの締まりを記憶してきた。占いではなく、乾いた朝が続いた年の経験則である。