
Water面のこの杭だけが、どこまでが一本の木かを示します。
Fencepost Cypressは、黒いWaterの上に立つ高さ三十五メートルほどの落leaf性の針leaf樹。幹の根もとはWaterぎわで袴のように大きく張り出し、細かなleafは羽のように軽く、秋には錆色に染まって散る。この木の名の由来は、幹ではなく足もとにある。根の一部がWater面へ向かって垂直に伸び上がり、Waterを出た先端が木質化して、高さ三十センチから一メートルほどの円錐形の「膝」になる。膝は根の呼吸を助けるとも、やわらかい泥の中で株を支えるとも言われるが、確かなことはいまも分かっていない。分かっているのは、膝の出る場所に強い偏りがあることだ。一本の木の根が、隣の木の根と地中でぶつかった線の上にだけ、膝はいっせいに立ち上がる。ぶつからずに伸びられる方向には、根がどれだけ長く伸びても膝は出ない。だからWater面に並ぶ膝は、散らばらずに一本の線になる。舟でこのWetlandに入ると、動かない黒いWaterの上を杭の列が幾筋も横切っていて、その線をたどれば、どこまでが一本の木の領分なのかがそのまま読める。地面の下でしか起きていない出会いが、Waterの上にだけ形になって出ている。老いた木が枯れれば杭の列も朽ちて消え、残った木の根が伸びなおして、線は別の場所へ引き直される。
PLATE I
PLATE II
PLATE III
PLATE IV
PLATE V
PLATE VI
PLATE VII
PLATE VIII
Water面のこの杭だけが、どこまでが一本の木かを示します。
杭は、根と根がぶつかった場所にしか立たないからです。
Blackwater swamp forest of the Atlantic coastal plain, southeastern United States
高さ三十五メートルの木が、動かない黒いWaterの上に立っています。
その足もとから、木の膝が幾百本もWater面へ立ち上がります。
自由に伸びられる方向に、膝は出ません。