
死んだ根に触れただけで、この木は夜型に変わります。
焼根低木は、ひざ丈ほどの硬い枝をまばらに広げる地味な低木。厚く小さな灰緑の葉を密につけ、夕方に淡い乳白色の小花をいくつか開く。ふつうの低木は昼に光を浴びて呼吸をするが、この低木は二つの顔を持つ。乾いた地面に根を伸ばすうちに、過去の山火事で炭になった古い根に触れると、その日から昼ではなく夜に息をするようになる。炭から土へにじむかすかな化学の合図を、生きた根が読み取っているらしい。炭に触れていない株は昼型のまま、すぐ隣で炭に触れた株は夜型に切り替わる。だから同じ斜面で、昼に閉じて夜に開く株と、昼に開く株が混じり合う。火が消えてから何十年も経った今も、地中の黒い根が、生きた低木の一日の使い方を静かに決めている。なぜ死んだ根が生きた代謝を書き換えられるのか、まだ誰も説明できていない。

PLATE I
PLATE II
PLATE III
PLATE IV
PLATE V
PLATE VI
PLATE VII
PLATE VIII
死んだ根に触れただけで、この木は夜型に変わります。
昼に息をしていた低木が、ある日から夜にしか息をしなくなるからです。
南アフリカ、東ケープ内陸部の乾いた礫地。
かつて山火事が走り、炭になった古い根が今も地中に眠っています。
生きた根がその黒い炭に触れると、合図を読み取り、昼型から夜型へ切り替わります。
炭に触れていない隣の株は、昼に花を開いたままです。