Archive of Vanished Flora
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光喰花 Atranthus lucivorus
Specimen · N°075 · 闇

Atranthus lucivorus

森の中で、そこだけ光が消えます。最も黒い花が、光を吸い込んでいます。

FOUND 5.0°N 117.8°E · 東南アジアの熱帯雨林、湿った日陰の暗い林床  ·  ✝ EX · 最終確認 2015 年

光喰花は、暗い熱帯林の林床から高さ40cmほど立ち上がる草。広く艶のない濃緑の葉を低いロゼット状に広げ、短い黒い茎の先に、ほとんど漆黒の花をひとつ咲かせる。翼のように張り出した暗い苞と、20〜25cmほど垂れ下がるひげ状の細い付属物を持つ。花弁には色素が極端に高濃度で蓄積し、加えて表面の微細な突起構造が可視光を内部へ幾度も散乱させて閉じ込めるため、光をほとんど返さず、艶消しのビロードのような深い黒に見える。だから緑の林床の中で、そこだけが穴の開いたように黒く沈む。写真に撮ると、その一点は影のように黒く写るだけだ。ところが摘んで標本にすると、乾くにつれて色素は褐色に褪せ、微細構造もつぶれて、あの黒の深さは残らない。押し葉になった光喰花は、ただの茶色い花にすぎない。

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肖像

標本写真 / archival still
光喰花
STILL · 標本写真

「光を呑む花」

この標本に動く記録は残されていません。静止した一枚に、その姿をとどめています。

ARCHIVAL STILLPLATESILENT
Narration · ナレーション音声
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標本図版

8 枚 · ホバーで拡大
光喰花 plate 1PLATE I
光喰花 plate 2PLATE II
光喰花 plate 3PLATE III
光喰花 plate 4PLATE IV
光喰花 plate 5PLATE V
光喰花 plate 6PLATE VI
光喰花 plate 7PLATE VII
光喰花 plate 8PLATE VIII
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観察ノート

Habitat · 発見地
東南アジアの熱帯雨林、湿った日陰の暗い林床。稜線からの光が届かない谷筋の常時薄暗い一帯で、厚く積もった落ち葉と羊歯におおわれた地面にだけ現れる。
Local name · 現地での呼び名
光を呑む花
Folklore · 現地伝承
現地では、この黒い花が咲く場所はもっとも古く深い日陰とされ、昼でも光の戻らない一点として、人はそこを踏まず避けて通ったと語り継がれてきた。
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発見地

Coordinates
5.0°N 117.8°E
東南アジアの熱帯雨林、湿った日陰の暗い林床
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記録

森の中で、そこだけ光が消えます。最も黒い花が、光を吸い込んでいます。

東南アジアの熱帯林、湿った日陰の暗い林床。

花弁には色素が極端に多く、微細な構造が可視光をほとんど返しません。

だから緑の中で、そこだけ穴が開いたように黒く見えます。

写真に撮ると、その一点は影のように写ります。

けれど標本にすると、乾いて褐色に褪せ、黒の深さは残りません。

More分類・学名・語源などの詳しい標本データ
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分類

分類・標本データ
Scientific name · 学名
Atranthus lucivorus  K. Brandt, 2012
Taxonomy · 分類
植物界 › 被子植物門 › 双子葉植物綱 › AtranthalesAtranthaceaeAtranthus › lucivorus
Voucher · 標本
AVF-075 · Holotype
Archive of Vanished Flora (AVF)
Conservation · 保全状況
✝ EX — 絶滅 最終確認 2015 年
Collector · 採集
N. Drei
2009-04-13
Synonym · 異名
Atropsis lucivorus C. Iwabuchi, 2007
Protologue · 原記載(ラテン)
Herba perennis, rhizomate tenui, foliis linearibus, inflorescentia pauciflora. Typus: 東南アジアの熱帯雨林、湿った日陰の暗い林床. Species iam extincta.
Discovered / Described
2009 / 2012
草丈 Height
40cm
生活形 Life form
ロゼット状の多年草
葉序 Phyllotaxy
根生葉(ロゼット)
染色体数 Chromosome
2n = 20
開花期 Flowering
短い開花期(数日)
送粉 Pollination
小型の双翅目・膜翅目
基質・pH Substrate
礫質・ほぼ中性
標高 Elevation
200〜1,200 m
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語源

学名の語源
Atranthus属名 / GENUS
anth
lucivorus種小名 / EPITHET
語源は記録に残っていない
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観察記録の追補

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