Archive of Vanished Flora
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雪窓花 Nivifenestra himalayensis
Specimen · N°052 · 風

Nivifenestra himalayensis

雪が降ったばかりの朝にだけ、雪の上に小さな窓が開きます。

FOUND 27.8°N 88.1°E · ヒマラヤ東部、標高約5000mの吹きだまりの雪田  ·  ✝ EX · 最終確認 1981 年

雪窓花は、雪面から5cmほど顔を出す小さな高山植物。細い革質の濃緑の葉を低いロゼット状に重ね、透き通った淡色の短い茎の先に、淡い青白い星形の小花をひとつ咲かせる。花の喉にはかすかな菫色がにじむ。ふだんは岩屑の上の薄い雪の下でじっと過ごし、ふわりと軽い新雪が積もった朝にだけ動きだす。花はわずかに熱を持ち、まわりのゆるい雪を静かに溶かして小さな空洞をつくる。透明な茎は新雪のやわらかさを感じとって伸び、淡い花を雪面まで届かせる。ところが時間がたって雪が締まり硬くなると、花は茎を縮め、音もなく雪の下へ戻っていく。だから硬くなった雪原には、もう花の跡は残らない。咲いていたのは、新雪がまだやわらかかった数時間だけだ。

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肖像

標本写真 / archival still
雪窓花
STILL · 標本写真

「雪を覗く花」

この標本に動く記録は残されていません。静止した一枚に、その姿をとどめています。

ARCHIVAL STILLPLATESILENT
Narration · ナレーション音声
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標本図版

8 枚 · ホバーで拡大
雪窓花 plate 1PLATE I
雪窓花 plate 2PLATE II
雪窓花 plate 3PLATE III
雪窓花 plate 4PLATE IV
雪窓花 plate 5PLATE V
雪窓花 plate 6PLATE VI
雪窓花 plate 7PLATE VII
雪窓花 plate 8PLATE VIII
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観察ノート

Habitat · 発見地
ヒマラヤ東部、標高約5000mの吹きだまりの雪田。稜線の風下にできる窪地に、風が運んだ新雪だけが厚く積もる場所にだけ現れる。
Local name · 現地での呼び名
雪を覗く花
Folklore · 現地伝承
現地では、雪窓花が新雪の上に小さな窓を開けるとその冬最後の新雪の印とされ、この花が雪に沈んだ朝から雪原は締まり、春へ向かうと語り継がれてきた。
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発見地

Coordinates
27.8°N 88.1°E
ヒマラヤ東部、標高約5000mの吹きだまりの雪田
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記録

雪が降ったばかりの朝にだけ、雪の上に小さな窓が開きます。

のぞき込むと、その奥で花が咲いています。

ヒマラヤ東部、標高五千メートルの吹きだまり。

ふわりと軽い新雪が積もると、雪窓花はわずかに熱を出し、ゆるい雪をそっと溶かします。

透き通った茎を伸ばし、淡い青白い花を雪面まで届かせます。

けれど雪が締まって硬くなると、花は茎を縮め、音もなく雪の下へ戻っていきます。

More分類・学名・語源などの詳しい標本データ
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分類

分類・標本データ
Scientific name · 学名
Nivifenestra himalayensis  M. Castellan, 1974
Taxonomy · 分類
植物界 › 被子植物門 › 双子葉植物綱 › NivifenestralesNivifenestraceaeNivifenestra › himalayensis
Voucher · 標本
AVF-052 · Holotype
Archive of Vanished Flora (AVF)
Conservation · 保全状況
✝ EX — 絶滅 最終確認 1981 年
Collector · 採集
E. Mori
1974-05-14
Synonym · 異名
Nivifenestropsis himalayensis K. Brandt, 1972
Protologue · 原記載(ラテン)
Herba parva rosulata, foliis crassis glaberrimis, floribus parvis stellatis. Typus: ヒマラヤ東部、標高約5000mの吹きだまりの雪田. Species iam extincta.
Discovered / Described
1974 / 1974
草丈 Height
5〜15 cm
生活形 Life form
ロゼット状の多年草
葉序 Phyllotaxy
根生葉(ロゼット)
染色体数 Chromosome
2n = 22
開花期 Flowering
短い開花期(数日)
送粉 Pollination
風媒
基質・pH Substrate
礫質・ほぼ中性
標高 Elevation
2,400〜3,000 m
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語源

学名の語源
Nivifenestra属名 / GENUS
語源は記録に残っていない
himalayensis種小名 / EPITHET
語源は記録に残っていない
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関連標本

同じ環境の標本

観察記録の追補

再訪と追記
2026-06-24 · 花室と送粉

新雪の朝、花の周囲にできる空洞は直径二、三寸にすぎないが、内部の気温は外気よりわずかに高い。葯は花被が開ききる前に裂け、柱頭へ落ちる花粉で自家受粉を終えるらしい。正午近く、融雪水が岩屑を濡らす日にだけ、小型のハエ類が窓を伝って入り、菫色の喉を短く探るのを見た。虫媒は保険であり、常法ではない。

2026-06-24 · 岩屑地の根

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2026-06-24 · 跡の残らない群落

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